約 2,307,478 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2241.html
第十五話:生贄姫 俺と蒼貴、そして日暮に注目される彼女が近づいてくる。胸ポケットには大した傷もないヒルダが入っており、この様子だと あの後のバーグラーを彼女は難なく倒したくれたらしい。 「緑か。すまん。さっきは助かった」 「気にするな。私達の仲だろう?」 「か、勘違いされそうな事を言うんじゃねぇよ!」 「おや、真那の方がいいのか? 根暗は明るい子の方が好みという事か……」 「あのなぁ……」 再会して早々の問題発言に俺は頭を抱えた。真那といい、縁といいどうしてこうも女というのはからかうのが好きなのだろうか。付き合わされるこちらの身にもなっていただきたい。 「ふふふ……。まぁ、お前をからかうのは後で楽しむとして本題だ。あのバーグラー共から情報を吐かせたぞ」 「マジか?」 「ああ。それも面倒くさそうなのをな」 笑った後の本題に俺はすぐに先ほどの悩みを隅に追いやって、尋ねる。 「端的に言えば小遣い稼ぎさ。資金に困った研究者によるものだ」 「研究者って義肢のだな?」 「そうだ。お前も情報を集めていたという事か。となれば情報交換といかないか?」 「ああ。それが一番早い」 「その話、僕にも聞かせてくれないかい?」 「尊、彼は?」 「正義の味方らしい」 「は?」 話に割り込んでくる日暮を端的に紹介すると、あまりにも直球過ぎたのか冷静沈着な縁も唖然とした。『正義の味方』という言葉は彼女の中では化石並みに古い言葉の様だ。 その反応を見た日暮は俺と変わらぬ反応でやはり笑う。そういった反応にはなれているのだろうか。 「言葉の通りさ。力になれると思うんだけどいいかい?」 「僕は構いませんよ。個人ではきつい話ですしね」 「尊がいいなら、信用しましょう」 「OK。じゃ、ちょっと店裏まで付いてきてくれ。僕も同時進行で調査するからさ」 日暮に促された俺と縁は互いの情報を交換し、その情報から情報収集をしてくれた彼と共に話を整理を始めた。 事の起こりは義肢研究の行き詰まりと国からの資金援助の期限が迫り、ついには切れてしまった事にあった。 義肢研究に関しては何もそこだけが行っているわけではない。その研究には多くの研究者達が参加しており、こぞって成果を出し、援助を求めようとしている。 あの義肢研究者もまた、その一人だ。成果を上げて資金援助を得ていたのだという。しかし、俺の聞いた話の通り、研究は行き詰まってしまい、資金援助が打ち切られてしまったのだ。 当然、障害者施設の収入程度では義肢という規模の大きい分野の研究費など賄えるはずがない。 このままでは義肢研究者は資金不足によって、研究を進められなくなってしまう。 そこで彼が思いついたのはその研究の課程で得られたリミッター解放技術であった。 神姫の出力で人間の四肢という大きなものを動かす事は出来ないため、必然的により大きな出力を引き出さなくてはならない。故に初めは違法パーツ……神姫の規格から外れているパーツで組んでいたらしい。出力の方も神姫に直接操作する関係上、リミッターの外し方などを独自に研究、使用していた。 その研究を応用し、俺達が遭遇した神姫達が付けていたイリーガルマインドに似せたリミッター解放装置を開発して、さらに障害者用の盲導神姫もイリーガルとして改造し、裏でバーグラー達にそれらを横流ししていたらしい。 紅麗というリミッター解除装置を付けた神姫の所属しているバーグラー達から聞いた情報では裏サイトで仲介者から買い取ったと言っており、その裏サイトのアドレスを日暮が普通はしてはいけない様な方法で調べるとそこにはかなりの高額で取引されている事を証明するページがあった。 イリーガルマインドに似せたあの違法パーツが様々なバリエーションで用意されており、強力であればあるほど高額になっているラインナップだった。 そのレートは数千円である場合もあれば、数万円の場合もある。強弱や能力のばらつきがあれど、その力は使った神姫を死に至らしめる程強力なのは共通している。 さらにあろう事かバトルロンドのシステムに引っかからない様に調整された違法改造用のキットやイリーガル神姫までもを直接斡旋していた。 「己のために神姫を喰い潰すか……」 「人の性ってやつかもしれんな……」 緑の言う通り、人を助けるはずの義肢研究も少し道を外すだけで力に溺れさせる死の商人と成り果てるとは皮肉である。 自分の研究を続けるためというシンプルな考えであるはずなのに課程を間違えるだけでこれだけ堕ちてしまうとは人とは恐ろしいものである。 「何にしてもこいつはまずいな。このままだと、ここ周辺でイリーガルが大量発生しかねない」 日暮も危険を唱える。 イリーガルに成りきるだけではなく、それを作り出せるとあってはそれを知った人間はこぞってそれを買っていくだろう。密売を始めてまだ間もない感があるが、このままではバトルロンドがそうした違法神姫達が横行する事に成りかねない。 「自分らで何とかできる話ですかね?」 「その辺は心配ない。情報収集や操作でどうにでもなるからね。ただ……」 「ただ?」 「証拠がない。君たちの言う研究者に突きつけるための動かぬ証拠がね」 「このページやバーグラーの発言では足りないって事ですか」 「ああ。ページは誰か別の奴が作っているだろうし、バーグラー達は直接あの研究者から買い取ったってわけでもないだろうからね。せめてそれを見ている施設内部の神姫がいればいいんだけど……」 「でもそれは巻き添えでその施設が閉鎖される可能性があるのでは? そのために黙るとかあり得ると思うのですが……」 「確かにそう考えられるかもね。まぁ、その辺は可能な限り頑張ってみるよ。それより証拠のアテは何か知らないかな?」 それを聞いて俺は考える。あの施設の中で最も都合のいい立場にいる人間を頭の中から取捨選択して、残るのは……。 「輝と石火だな。だが……」 彼らならば顔が通っており、なおかつ石火の索敵によるカメラ映像情報を持っている可能性がある。 彼女の目はどんな些細なものも見逃さない千里眼にも等しき目だ。何かしらの情報を掴んでいるかもしれない。 とはいえ、そうであるかどうかには不安が残る。そもそも石火がそれを見ていないというのもあるが、彼らがグルである、或いは見てしまって口止めされているなど、障害になりえるシチュエーションはかなりある。 「それでもそいつに聞くしか手段は思いつかないのだろう?」 「……まぁな」 緑の言う通り、現状で有効な手はそれぐらいしかない。 石火が見ていた場合の情報の信頼性としては、石火の整備は施設では全く行われてはおらず、専属技師である親友がやっている可能性が非常に高いという事だ。これは施設による石火のデータ改竄されている可能性が極めて低い事を意味している。仮に不都合な情報があったとしてもそれが消えることはない。 また、施設の研究者も輝という名前が全国に知れ渡っている故に石火に、そのマスターの輝にも迂闊な事はできない。仮にそんな事をした場合、真っ先に疑われるのは彼らなのだから。 「なら、決まりのようだね。輝の事なら僕も耳にしているよ。彼は全国大会の最初のチャンピオンでその専属技師の友人も技術面では結構、有名だ。交渉は慎重にやった方がいい」 「わかってますよ。必要なら僕が憎まれ役を買いますし」 「随分と大胆な事を考えるね。だからこそやれるとも思えるけど」 「それが彼なんですよ」 「なんだそりゃ?」 「それは自分で考えろ。その方が面白い」 緑の突然の言葉に頭の中に疑問符が浮かんでくる。彼女に聞いてもあしらわれ、その謎を自分で考えてもあまりピンとはこない。 「考えてもわからん……」 そういう事に行き着いてしまう。 「まぁ、気長にな。で、そいつはどこにいるんだ?」 「神姫センターだ。行けばまた会えるだろう」 話題変わって輝の場所だが、俺はただ会っただけだ。輝から携帯電話番号を教えてもらったわけではなく、単に会って話し合っていたに過ぎない。 そこで連絡先でも聞いておけばと後悔もできたが、今更そうしても仕方の無い話だ。 「なら、そこで探すしかないな。とは言っても盲目自体珍しい。難しくはないだろう」 「ああ。後は引き込める上手い言葉を探しておくさ。根性論なんか押し付けたくねぇしな」 「それもそうだな。だが、彼らは正しいと思うから間違うかもしれんぞ?」 その通りだった。いくらそれが正しい事であったとしてもそれが納得できる事と同義であるわけではない。 自分のルールにそぐわないものは自分が変わらない限り、それは障害以外の何者でもないのである。 この事実を輝が受け入れるか、拒否するか、逃げるか、俺達にはわからない。確かなのは…… 「その時は……その時だ」 それだけだ。 「……そうか」 「ワリィ。それほど器用じゃないんでな」 「わかっているさ。その時になっても後悔はするなよ?」 「ああ」 「話は決まったかい?」 「ええ。僕が何とかします」 話が一区切り付いてきた所で声をかけてくる日暮にやる事を伝える。 可能な限り早い日に輝には俺が情報を持ちかけて説得をかけ、彼に協力を取り付け、石火の視覚データから違法神姫に関する証拠映像を手に入れて、それを証拠とするという事だ。 解決策に関してはイリーガルマインドを解析しているであろう杉原に話を聞き、それがわかり次第、その方面の行動も展開していく。 日暮との連携も考えて、杉原には彼の事を伝え、協力して事に当たってもらうものとする。上手くいけばあの義肢研究者を足がかりに彼に連なる違法ブローカーも芋づる式で捕まえられるだろう。 「わかった。僕は君が話をつける前に段取りを整えておくよ」 「それでは僕はこれで。紫貴もそろそろ直っている頃でしょうしね」 「あ。また、パーツに困ったら買い物にでも来てくれ」 「ええ。そうします」 自動ドアを出て、修理が終わったであろう紫貴を迎えに歩きだした後で、俺はため息をつく。 確かに計画としてはいい。だが、輝と石火がこの話をどう思うか、借りに信じたとして自分の世話になった場所を潰す事になるかもしれない事をどう思うか、全く予想が出来ない。 当然、心苦しい事になる。これからどうするかもわからなくなるだろう。だからといって俺が責任をとるために導いてやれるなんて馬鹿げた話は無理だ。そこまで自惚れる脳みそをしちゃいない。相手にこれからを委ねるが精一杯だ。 「カッコつけておいて、やる事は他人任せか……」 自嘲的にそれらをまとめる。交渉事なぞ所詮はそういうもののはずだがやはり煮え切らないものがある。 「オーナー……」 「わかってる。やるだけやってみせるさ。あっちが恨もうがな」 「自分だけで背負わないで下さい……。私や紫貴だって背負います。それに私達が悪い訳ではないはずです。いつまでもあのままならもっと傷つきますから……」 「そのはずだよな……」 引き金を引くのは俺だが、と続けようとしたがこれ以上は泥沼になるため、止めた。 蒼貴が元気付けようとしているのにそれを無碍にするのは悪い。 そんな陰欝な雰囲気で歩いているとコンビニを通り掛かった。そういえばあの戦いの前から何も飲んでいない。色々と起こりすぎて喉がカラカラなのを忘れていた。 そんな訳で俺はコンビニに飲み物を買いに入る。コンビニの中には店員と少数の客しかおらず、並ぶ事なく会計を済ませられそうだ。 詮無い事を考えながら、雑誌の並ぶ雑誌コーナーを進む。そこで週刊バトルロンドの最新刊が目に入った。どうやら丁度今日が発売日だったらしい。 俺は何気なくそれを手に取り、それを開く。 「こいつは……」 バトルロンド・ダイジェスト最新号の表紙には『特集:~ 絆 ~ 武装神姫はなんのために戦うのか?』というあまりにも規模の大きいタイトルと見た事のないタイプの神姫と『アーンヴァル・クイーン』の異名を持つランカー 雪華が写った写真で大きく飾られていた。 自他共に厳しく接し、高尚なる戦いを求める彼女の事は神姫センターで別のランカーを薙払っているのを俺も見て、知っている。そんな雪華が誰かに優しく、ましてや抱くなどという事をさせた泣いている神姫は一体何者なのだろうか。 俺は興味を持ち、雑誌を開く。表紙の内容は巻中のカラーページに特集として大々的に描かれていた。 最初はバトルの詳細な解説が主な内容だ。雪華はいつもの飛行装備、泣いている神姫……ティアというらしい神姫はランドスピナーというモーター駆動のローラーブレードと拳銃やナイフで戦っていたらしい。 ティアといえば元風俗神姫だったらしい事を噂で耳にしたことがあった。しょうもない奴が経歴を言いふらしてけなすだけのどうでもいい話だと思っていたが、まさかこうなるとはこれを見るまでは予想もしていなかった。 さらにそれを読み進めると信じられない事が書かれてあった。なんとティアは雪華最大の必殺技を回避し、その挙げ句彼女の武器を奪って戦ったらしい。 大した度胸と執念だ。ティアのオーナーとは会えればいい話ができそうな気がする。 戦いの末、ティアは倒れ、試合の形式的には敗北したらしいが、雪華は敗北を認めたという。 そんな試合があったとはそれを直に見られなかったのが非常に残念だ。面白い戦いはどうにも俺の外で行われているらしい。いつかセンターを飛んで回ってみたいものだ。 その戦いの記録の後は「武装神姫はなんのために戦うのか」というタイトル通りの問題提起になっていた。 雪華を初めとするランカー神姫が思い思いのコメントをその記事に刻んであり、 「人は武装神姫を戦わせる。それは名声のため、お金のため、バトルの楽しさであるかも知れない。 戦わせる理由はマスターによって様々だ。しかし、神姫にとって、戦う理由は皆同じだ。マスターの望みを叶えるために戦っている。 もう一度振り返ってみて欲しい。神姫は何を思い、なぜ戦うのか。 自分はなぜ、自分のパートナーを戦わせているのか、を」 それらがそう結ばれていた。その主となる言葉は「マスターのために」だ。その言葉を恥ずかしげもなく、彼女たちは言えている。 呆れるほど単純なその言葉には計り知れない想いが詰まっていることだろう。 その後の特集は、絆を思い起こさせる、過去の名勝負のダイジェストが紹介されていたが、必要なことを知った俺は雑誌を閉じ、それを持ってコーラと一緒に会計を済ませて、外を出た。 「人も神姫もそこまで弱くはない、か……」 ティアの話は、絆は自分達が思うよりずっと堅く、支えになる事を教えてくれた。 俺と蒼貴と紫貴だって、そういう絆があってここまで来たのはよくわかっているつもりだ。輝と石火の絆だってそうであるはずだ。……いや、時間が長い分、俺達よりも堅いはずだ。 「こういうのを潰しちまいたかぁねぇな……」 戦いの場をイリーガルから守るというご大層な名目を掲げる気は無い。ただ、こういう絆を感じさせる戦いが無くなるのは気に入らない。 武装神姫が何のために戦うのか。それは言うまでも無く、マスターのためである。これは雑誌の通りだし、大抵のマスターも理解しているだろう。 が、そのマスターが狂えば従っている神姫はどうなる。少なくともそれまでの関係には戻れなくなってしまう。それもまたつまらない話だ。 「あいつらの絆に賭けてみるか……。どんな結果になろうが……な」 別に主役を張る気は無い。が、見て見ぬ振りをするつもりもない。 俺はティアやそのオーナーの様に戦えないかもしれないが、自分の筋は通す。それぐらいはできてもいいはずだ。 「なぁ。蒼貴」 「はい」 「俺、イチオーナーとして頑張ってみるわ。付き合ってくれるか?」 「その言葉は紫貴と一緒にお聞かせください」 「……そうだったな。あいつを迎えに行こう」 「はい」 そう胸に決めると俺は蒼貴と共にカルロスの喫茶店に預けた紫貴を引き取りにコーラを飲みながら歩いていく。 やるだけ、やってみるか…… 戻る -進む
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/621.html
<主人公> ●ミラ・ツクモ(Mila Tsukumo/九十九 御良)female age 20 浮世離れした天才型大学生にして大学講師。黒い髪の日系三世で、両親は既に他界した。 鳳条院グループが主催する大会で爆弾テロが行われる事を知り、日本に向かった。 UCLAに在学していたが現在は鳳条院家に居候中。UCLAが出した特例で、まだ学生の身ながら日本の私立龍ノ宮大学で文系学問の講師を勤める破目になってしまった。 普段着は黒い喪服、トライアンフのROCKET(Over2000ccの化け物サイズ)を駆り、巨大な神姫収容トランク所持する。背丈が極めて低めなのが悩みだが実はトランジスターグラマー。最近は白いワンピースを着たりしておしゃれもするらしい。 やや男勝りな自信家。冷淡でやや狡猾で何を考えているのか分かりにくい。慇懃無礼そうに見えるが礼を尽くす相手にはきちんとした態度は取る。 アメリカでは神姫BMAに認定された違法神姫の調査官で、彼女の所持する神姫達は恐ろしい程に高い戦闘力を有する。 <神姫> ●『烈風』(Reppuu) Type-Dog ミラが所有する神姫。汎用・特殊戦闘特化。 こげ茶の髪と赤く光る目が特徴。素体は肌の部分がやや白めで少し筋肉質。 情緒不安定でやや破綻した性格な上に毒舌。 腹が立ったり気に入らない事があれば近くのものを蹴っ飛ばす悪い癖がある。が、人間のマナーの悪さから来る憤りもあり、UCLAではBruins(ブルーインズ)の番犬とも呼ばれている。 戦闘スタイルは割と基本的だがやや力任せな感がある。また空中戦が上手い。だが、相手の神姫やオーナーに罵声を浴びせたり、相手の武装を奪ったり、弱った相手に試合終了判定されるギリギリまで加虐したり、悪質なフィニッシュで決めたりと、多くの神姫やオーナーから嫌われている。 震電の冷淡な性格が気に食わないらしく大いに嫌っているが、禁断の関係の連山には何だかんだ言って甘えている。小言や説教が多いエステラが大の苦手。 『ふぅ、もうめんどくさいからチャッチャとくたばってくれる?』 ●『震電』(Shinden) Type-Devil ミラが所有する二体目の神姫。遠距離強行戦闘特化。 常にゴーグルを付けている為、瞳の色は不明。髪と素体は藍色に近い。原型に比べやや細身。 偶にミラの命令を無視したり、冷徹すぎて相手に悪い印象を与える程度。それでも、他の2体よりも遥かに良識的である。また銃器に関してうるさいところがある。 障害物に身を隠しての遠距離からの超精密射撃や、専用ユニット”フレスヴェルグ”を駆ってのミサイル爆撃・十字砲火・強行突撃が多いが、中~近距離でのアルヴォLP4の二丁拳銃で戦うスタイルが定着している。因みに嘗て、『ガ○=○タ』をマスターしたメジャークラスの神姫を、赤子の手を捻るように叩きのめした事があり、『ガ○=○タ』を完全否定している……つもりなのだが、拳銃を使った格闘がそれに近くなっていることに薄々感付いている。 ある秘密兵器を『ヘキサ』のラルフと一緒に共同制作しているとか。 絶対に口にはしないが、烈風の事はそれなりに信頼している様子。連山は笑顔と笑い声が鬱陶しくて嫌っている。『ヘキサ』の店長のラルフとは、オーダーやカスタム銃を共同制作する程に気が合っている。 『動くと撃つ、止まっても撃つ。抗うなら終わりにする』 ●『連山』(Renzan) Type-Santa ミラが所有する三体目の神姫。超近接高速戦闘特化。 金色の瞳を持つが常にニコニコ笑っている為、確認出来ない。素体は無駄に豊満でやや赤黒い。ストッキングではなくガーターベルトを付けておりより黒めの色合い。 どんな時でも楽しそうに笑っており、天真爛漫で無邪気で何を考えているか分からない。一日の殆どはクレイドルで眠っている為、烈風は『眠り姫』と呼んでいる。不謹慎な夢を見ていることが多いとか。 何故か射撃戦闘はまるでダメだが白兵戦能力だけは驚異的に高く、意外にも超高速戦闘にも長けている。また、レーザーやビーム兵器の発射角度を見て避ける程の反応力と運動能力を持つ。その外神姫としてはありえない怪力を発揮する事も可能。 自分が気に入った相手には積極的にくっつきたがり、気に入った相手なら神姫も人間も皆が大好き。『シラギク』とは厳しい師弟の関係で流石に頭が上がらず、べたべたくっついたりはしない。 『あははは。君、意外と強いんだね!』 ●『シーミュー』(Seamew) Type-Shinobi 神姫ショップ『ヘキサ』のオーナーであるラルフの神姫で、少し珍しい忍者タイプである。 基本的に忠実だがちゃっかりした一面もある。そんなところでラルフとかなり気が合う良き合方。 無表情な忍者型MMSに店番をやらせても看板娘にはならないので、一時代理や裏方活動や怪しい客の見張りをやらせているらしい。 どんなお客様が相手でも常に平等だが、自分達の神姫にも容赦ないミラには少し恐れつつも、内面では目的の為に強く生きているその姿に憧れている。震電とは同じ職場(?)仲間。 『偶に来るんですよね、御自分の神姫のスペックを考えないオーナーさんって』 ●『アムリタ』(Amrita) Medical-Specification Nurse-TypeMMS 神姫の新たな実用性を見出し、医療活動及びそのアシスタントとして開発された神姫。 既存の医療用ロボットには無い人間臭さと、武装神姫をベースとした事の有効性をテストする為に開発され、11体が加州L.A.聖サンタモニカ病院に導入された。 医療活動における判断力が求められる為にオーナーと言う概念がなく、集団のアムリタの意思統合により役割分担やその時に適した行動が決められる。また、コアユニット・CSC・素体は単一である。 通常状態は基本的な医学知識がプログラミングされており、三種の医療用パックを換装する事でそのパックにプリセットされているデータを一時的に使用する。(通常時に於ける記憶視野の拡張とコスト削減の為) 尚、名前は一般名称であり、基本的に個々に割り当てられたIDで呼ばれる。 通常の神姫とは開発思想も構造も異なり、医療機関の要求に合わせた受注生産となる為、1体だけでも医療用精密機械並み(推定:140万ドル)の価格を誇る。また、厳密的には神姫ではなく医療用機器に分類される為、世間一般への販売は禁じられている。 ●『パンドラ』(Pandora) Type-Angel ミラにとって初めての神姫。本編未登場(?)。 嘗ては米・オフィシャルバトルのマスタークラス8位、2396戦2396勝0敗と言う脅威の記録を打ち立てたという。 『METEOR』と言う会社の懸賞に当たった神姫で、オリジナルパーツや部品などで固められており、一般的な天使型MMSの性能を遥かに凌駕するものと思われる。 数年前のとある事件により現在は行方不明。出所不明な情報筋によれば、『神となった神姫』と言われているらしいが……?
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/824.html
初バトル、七月七日、七夕。 一ヶ月の間、私は数十店の神姫ショップを歩き回った。地元の茶畑が広がるような田舎では流石にショップはないので、電車で一時間、お隣の県の大都市まで足を伸ばしたり、バスで三十分揺られ最寄りの商店街をブラブラしたりした。 というのも、お兄ちゃんが買ってきた神姫、マリーは素体のままで武装やアクセサリは全く無かったからだ。私は特別バトルがしたいというわけでもなかったので、彼女が身に付けるものは彼女に選ばせようとして、彼女が気に入るものが見つかるまでいろんな店を回っていたのだった。 まずマリーはあまり実戦的ではなく、どちらかというと観賞用のウォードレスを選んだ。一応ワンピースのそれは防御力はあまり期待できないものの、フリルの可愛いディティールは全部自動迎撃用のレーザーガンで、また申し訳程度の飛行機能も付いていた。 「すごいすごい!マリーが浮いてる」 ふわふわとドレスの裾を揺らしながら彼女は私の周りを何週か回って見せた。 「便利ですわ」 彼女は私の左肩に着地した。それから私を見上げて微笑む。 彼女の笑顔は完璧、百点満点だと思った。 別の日、彼女はようやく武器を手にした。彼女は先に買ったウォードレスに合わせてその武器――ロンブレル・ロング(L'ombrelle longue)を選んだようだ。 それはどうみても、日傘。日傘(L'ombrelle)って名前付いてるし。武器の性能としては、ライトセーバーとライフルの能力を併せ持つハイブリッドウェポン。ライフルは威力も装弾数も実戦で使えるギリギリのレベル。まあ、早い話がこれもまた観賞用のアクセサリなのだ。 「可愛いよ、マリー」 「ありがとうございます。わたくしもこれで、いつでもバトルが出来るようになりましたわ」 マリーは傘を開いて傾きかけた日差しを遮る。淵の白いフリルが揺れた。 「え?マリーはバトルしたいの?」 左肩に座っていた彼女は私がそう問いかけると、浮き上がって私の胸前にやってきた。私が歩くのと同じ速度で移動し続ける。 「だってわたくしは武装神姫ですのよ?」 「いや、うん、そうだけど。だったらもう少し強そうな装備選んでもいいんじゃない?」 「ダメですわ。時裕様がわたくしは人形型だとおっしゃっていました。ですからわたくしは人形らしく振舞わなければいけませんの」 ああ、そういえば細かい設定は全部お兄ちゃんに任せていたな、と私はぼんやりと思い出した。神姫の性格がCSCの埋め込み方によって変わるといっても、もっと繊細なところはこちらで設定してあげなければいけないらしい。かなりめんどくさそうだったからお兄ちゃんに頼んだのだけれど、正直かなり失敗だったと思う。 「へえ、人形型なんだ」 「はい。人形型MMSノートルダムですわ」 勝手に決められたということを怒るよりも、私はやけに細かい設定に関心していた。 ノートルダムか、と考えると少しにやけてきてしまう。お兄ちゃんらしい名前の付け方だなと思ったからだ。 「でもバトルってどうやるんだろうね」 「とりあえず...ショップ設置の筐体で草バトルと呼ばれる非公式戦ですわ。」 私はふーんと鼻を鳴らしながら早速視線は最寄りの神姫ショップを探していた。 学校帰りの商店街には二店舗、神姫を扱う玩具屋があり、この近くにはそこしかバトル筐体を置いているところはなかった。 「あそこだね」 カトー模型店、商店街の長屋にあるお店としては大きいほうの店構えで、数ヶ月前に改装されたショップだ。もともと地味だった模型店がここまで立派になれるのも神姫ブームのおかげだろう。 午後五時半、私と同じように学校が終わった学生の神姫マスターたちが集まってなかなか賑やかだ。 「やあ、のどかちゃん、いらっしゃい」 「こんばんは、カトーさん」 マリーの装備を選ぶとき、最初に訪れたショップがここだった。お兄ちゃんもここの常連で、店長のカトーさんと顔見知りだということもあって、いろいろ相談に乗ってくれたのが強く記憶に残っている。カトーさんはここにないようなパーツを他の店にはあるからといって紹介してくれたりもしてくれた、いろんな意味でいい人だ。 「マリーちゃんもいらっしゃい」 「ごきげんよう、カトー様」 「ドレスモデルのウォードレスか。なかなか可愛い物を見つけたね」 マリーはスカートの裾を摘み、膝を折って行儀よくお礼をした。 「今日はお兄ちゃん、もう来ました?」 「時裕君?いや、そういえばまだ見てないなあ」 そうですか、と言って私は、私と同じ学校の学生服を着た男の子たちによってバトルが繰り広げられている筐体のほうへ視線を向けた。 お兄ちゃんは一度この店に足を踏み入れると三時間は出てこないので、もしお兄ちゃんが店にいれば、今日は止めておこうと思ったけれど、カトーさんの言葉を聞いていよいよ心臓がドキドキし始める。 「バトルかい、のどかちゃん」 カトーさんは丸い黒縁眼鏡を掛け直しながら言った。 「はい。初めてなんですけど...」 「そりゃよかった。やっぱり武装神姫はバトルが一番楽しいからねえ。次、席空けてもらうからちょっと待っててね」 そう言ってカトーさんはカウンターから出て、つかつかと盛り上がる一方の筐体のほうへ歩いていく。そして学生服の男の子たちと話始めた。 そのうち何人かが私のほうをちらっとみる。その中に同じクラスの藤井君の姿が見えたので少し手を振った。ただ私に気づいているかどうかはわからなかった。 「緊張するね、マリー」 「大丈夫ですわ。きっと」 少し経って、カトーさんは手招きで私たちを呼ぶ。私は背筋を伸ばして恐る恐る筐体へ向かい、マリーはその後を飛びながらついて来る。途中、やっと藤井君も私たちに気づいたようだった。 カトーさんの横にはこの店では珍しく、女の子が立っている。彼女もまた男の子たちと同じように私と同じ学校の制服、というか私と同じ制服を着ていた。 「丁度いい対戦相手が見つかったよ」 と言ってカトーさんは傍らの女の子の肩をぽんと叩く。 「彼女は先月神姫バトルを始めたばかりなんだ。ね、香子ちゃん」 「よ、よろしくお願いします」 その女の子は右肩に神姫を乗せたまま深々と頭を下げる。当然、彼女の右肩に座っていたジルダリアタイプの神姫は声を上げながらずり落ちた。しかしその神姫は落ちていく途中、一回転してから急に落下を止めて腕を組みながら少しずつ浮き上がっていった。 そしてそれに気づいた女の子が顔を上げて、その神姫のほうを見るまで口を尖らせ続ける。 「あ...!ごめんなさい」 「もう少しまわりに注意してくださいね、マスター」 「ごめんなさい、本当にごめんなさい」 女の子はすっかり私を忘れて彼女の神姫に謝り続ける。その様子をまわりの男の子やカトーさんがくすくすを笑った。 「も、もういいですっ。それよりみなさんが...その...見てますから...」 それが恥ずかしかったのか、女の子の神姫は少し頬を赤らめてどんどん声量を落としていった。 俯きながらちらりと私たちを見て、話を変えて、と訴える。 神姫でもそんな表情をするのか、と感心した私は急いで自己紹介をした。 「えっと、七組の月夜のどかです。こっちはマリー」 「ごきげんよう、マリー・ド・ラ・リュヌですわ」 女の子は思い出したように私たちのほうを見る。 「あ、はい、五組の斎藤香子です」 「ジルダリアのラーレです。よろしくおねがいします」 私の通う高校の一年生は、九クラス三百六十人。私は五組には一人も友達がいない――もちろん偶然だ――ので、彼女とは初対面だったことも納得がいく。 「じゃ、挨拶が済んだところで、早速バトルにしようか」 私も香子ちゃんも、そしてマリーもラーレも、そう言ったカトーさんのほうを向いてはい、と返事をした。 作品トップ | 後半
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/426.html
戦乙女は、かく降臨せし(後半) 相手はサイフォスタイプ。但しその手には片手剣でも大型の槍でもなく、 専用にチューンしたであろう、厳ついツヴァイハンダーが握られている。 全身の装甲は重装型と軽装型の折衷。背部には……ツガルタイプの翼か。 ともあれ剣一本を極めようとしているようで、油断はできそうもないな。 「仕掛けぬのか?では、一本往くぞ……ハイヤァーッ!!」 「はいですの……畏れず突進ッ、いやぁああーっ!!」 白兵戦に強いとされている第三シリーズだけあり、一太刀の威力は重い。 私のロッテにもフレーム換装を施してあるとはいえ、地力では一歩譲る。 それでもロッテは懸命に、右に構えた長大な細身のランスで受けている。 ヴァーチャルとはいえ飛び散る火花に、私は興奮と期待を全く隠せない。 「うっ、く……サイフォスタイプの剣技は、やっぱり凄いですの」 「そなたこそ、アーンヴァルタイプの細い躯でよくやる……ぬんっ!」 「え?……きゃうっ!?」 「ロッテっ!」 ロッテに装備させたランディングギアには、私が開発した接地用アームを 装甲類と共に取り付けている。アーンヴァルタイプの弱点である地面での 踏ん張りを可能としており、四本の可動爪によるグリップは相当な物だ。 それ故にサイフォスタイプとの斬り結びも可能なのだが、零距離ではまだ 経験であちらに分がある。現に今、蹴りを食らって突き飛ばされたしな。 「斬り合いではまだ不利か。ロッテよ、一度距離を取るのだ!」 「Ja!(了解)……白き翼よ、開いてっ!」 「何?!……そうか、アーンヴァルタイプは“天使”であったな」 「いいえ、私は……“戦乙女”ですの♪」 大いなる翼を以て、朱に染まる空へ舞う戦乙女。そう……これだ、これ! “天使を越えて、戦乙女となれ”!これこそが、軽量級用装備に於ける、 私のコンセプトであり……戦闘指針でもある。本領は、空にこそあるッ! 「じゃあここからは……本気で、いきますの。フォイエル!」 「うっ!?レーザーキャノン?馬鹿な、そなた何処から!」 「えっと、この槍からですの。ほら、これ♪」 「槍だと……?く、あれは……銃口か!」 フリッグとやら、不意に蒼い一撃を受けてやっと、事に気付いたらしい。 本来アーンヴァルタイプは、エネルギー兵器を得意とする“武装神姫”。 その特性を活かすべく、私のロッテにもレーザーキャノンは搭載済みだ。 その場所は──槍。そう、ロッテの槍はいわば“レーザーガンランス”! 「撃ちまくれ!弾幕を張れ、チャンスを狙うのだ!」 「Ja!フリッグさん、いきますのっ……それそれっ!!」 「ぬっ、く!ううっ!?チャージは遅い筈、何故だ!」 「出力を搾れば、それだけチャージは速くなりますのっ!」 「それに重ねて、ハンドガンの制圧射撃か……くうっ!」 流石熟練。弾幕自体は上手くいなしておりダメージの方は少ない様子だ。 だが、飛ぶ隙を与えぬこの作戦は奏功した……奴めの剣が下がったのだ! すかさずロッテは動き出した。制限時間も少ない、これが唯一の好機!! ハンドガンをホルスターに仕舞い、戦乙女が空から一気に舞い降りるッ! 「今ですの、せやぁああああっ!!」 「ッ!?しま、っ……うあっ!!?」 「これで決めさせて、もらいますのっ!」 弾幕の陰に隠れて、ロッテが超鋭角・高々度のミサイルキックを加えた。 接地用アームの爪を束ねれば、それは優秀な刺突用の白兵装備になるッ! 一撃で装甲を砕かれ狼狽したフリッグを、逆の脚部アームで掴みあげる。 そしてそのまま宙に投げ、左手で掴む!この瞬間、私は勝利を確信した! 「ぐ、あああっ!?ば、バッテリーが……第三種特殊攻撃、だと?!」 「あなたの“魂”を少し頂戴しますの……“アインホルン”充電!」 「ぬ、く!?は、離せ……力が、落ちる……!?」 第三種特殊攻撃。有り体に言えば“エナジードレイン”という類の技か。 強力ではあるが公平を保つ為に、公式試合では射程が大幅に制限される。 そこで私は、接触距離でのみ相手の電力を吸い取れる義手を作ったのだ。 吸収した電力は、即座にロッテの槍“アインホルン”に還元されていく。 「これでお仕舞いですの。……零距離射撃、フォイエルッ!!」 「ぐぅっ!?う、うあああああっ!!……ま、負けだッ」 『テクニカルノックダウン!!勝者、ロッテ!!』 そして自己の電力も上乗せした、最大出力のレーザーキャノンを見舞う。 しかも槍の穂先で盾代わりの大剣を貫いた、その先からの零距離攻撃だ。 たまらず相手は吹き飛び、審判システムが戦の終わりを高らかに告げる。 勝利の鐘が鳴り響く中、倒れ伏すフリッグを……ロッテが抱き起こした。 無論右手の槍はパージして。戦う意味は、今の2人にはないのだからな。 「ロッテ……負けとはいえ良い試合だった。礼を言おう」 「わたしこそ、フリッグさんにはお礼を言いたいですの」 「ふふ、良い娘だ。これからも、気を引き締めてな……」 あの娘はこういう優しい……甘い所がある。だがだからこそ“妹”として 私も彼女、ロッテを誇りに思うわけである。本当に良い娘だ……有無ッ。 早速、ヴァーチャル空間から還ってきたロッテを抱きしめ、ねぎらおう。 「マイスターっ!わたしの戦い、いかがでしたかっ!?」 「よくやったぞロッテ~!よし、今晩は祝勝会だっ!!」 ──────今宵、“私達”はとかく上機嫌なのである。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2443.html
MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 2」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 深夜の闇に包まれた高層ビル群・・・生暖かい風が頬をなでる。 日本の近畿地方、大阪府のほぼ中央に位置する市、大阪市 大阪市は、近畿地方の行政・経済・文化・交通の中心都市であり、市域を中心として、大阪都市圏および京阪神大都市圏が形成されている。 古代から瀬戸内海・大阪湾に面した当時の国際的な港である住吉津や難波津などのある外交に関連した港湾都市として栄え、古代の首都としての難波宮、難波京などの都城も造営された。中世には、浄土真宗の本山であった石山本願寺が置かれ、寺内町として発展した。近世初期には豊臣秀吉が大坂城を築城し、城下町が整備された。江戸時代には天領となり、江戸をしのぐ経済・交通・金融・商業の中心地として発展。 第二次世界大戦中には大規模な軍事工廠が乱立し、大口径の火砲を主体とする兵器の製造を担ったアジア最大の軍事工場地帯であった。また、戦前中の日本では重工業分野においてトップクラスの技術や設備をもっていたため、官公庁や民間の要望に応えて兵器以外のさまざまな金属製品も製造していた。 あの戦争から100年たった今でも、その名残を残すかのように工場が乱立していた・・・ 2040年代 大阪 かつての首都「東京」は度重なる震災と不況によりかつての栄光は失われ、代わりに急速に新興したMMS産業の生産拠点として商業工業大都市「大阪」が何百年かぶりに日本の経済と人口の中心地を取り戻した。 だが、MMSを使った凶悪な犯罪組織やそれに結託したMMS企業が暗躍する魔都でもあった・・・・ 大阪港の端、貨物船やフェリーが静かに停泊している。その一角に真っ黒の巨大な豪華客船が停泊していた。 豪華客船のタラップの入り口で一人の若い短いホットパンツと薄いシャツを着た女が、携帯を弄る。 傍らには、完全装備の天使型がびくびくと怯えている。 □天使型MMS「ルカ」 Sランク 二つ名「スピード・エンジェル」 オーナー名「神代 麗」♀ 20歳 職業 フリーター ルカ「あああ・・・ああの!!ま、マスター」 神代「なに?ルカ」 ルカ「神姫が壊れるまで戦わせる地下非合法バトルってのがあるらしいですけど・・・怖い話ですね ・・・」 神代は携帯をぱこぱこ打つ。 神代「なに言っているの?いまからアンタ、それに参加するのよ」 ルカ「え・・・ええええーーーー!!」 ルカは目をぱちくりさせて飛び上がる。 神代「冗談、冗談」 神代はニヤニヤして笑う。 ルカ「ふーーーあ、焦りましたよー」 神代「今日はちょっと、裏の非公式バトルロンドを覗くだけよ」 ルカ「ふわーーー、やっぱり本当にあるんですね」 神代「よし、パスワードのメール送信っと」 神代はタラップの扉の前でメールを送信する。 ゴコン・・・船の扉がゆっくりと開く。 ルカ「あれれえ!?」 肩に神姫を乗せた黒いスーツを着た若い男が出迎える。 □シスター型MMS「マリー」 Aランク オーナー名「安藤 巧」♂ 25歳 職業 ??? 安藤「いらっしゃいませ、神代様」 神代がチラッと携帯の画面を見せる。 神代「ここかい?裏の非公式バトルロンドの会場は?」 安藤はニコリと笑う。 安藤「どうぞ、こちらへ」 すっと手を伸ばし案内する安藤。 ルカ「ええええーーー!?」 真っ黒の客船の中は綺麗に整っており、シャンデリアがきらびやかに光輝き、赤い絨毯が敷かれ、何十人もの神姫やオーナーでごった返していた。 いかにも怪しい風体をしたオーナーたちはテーブルを囲み、立食をしたり神姫の話をしたりして騒いでいる。 神代「これが噂の豪華客船『アヴァロン』か・・・」 安藤「MMSクルーズ客船『アヴァロン』総トン数50,142トン全長240.96 m、定員乗客数800名乗組員数 約440名、内装はすべて一級品、船内中央には大規模バトルロンドも可能なステージを搭載しております」 神代「考えたものね、豪華客船を使って裏の非公式バトルロンドの会場にするなんて・・・」 安藤「この船の船籍はとある外国のものとなっており、中は治外法権、ここではあらゆる非合法行為が可能となっております」 神代「アヴァロンという言葉は妖精の世界、または冥界を指す・・・ふふふ、非合法の武装神姫の裏バトルロンドをするには、これ以上ないくらいのエスニックの聞いた船名じゃない」 マリー「どこかにあるとされる伝説の島『アヴァロン』都市伝説でよく語られますが、実際に存在するのが本船です」 神代「これだけ派手に豪勢にやってるってことは、スポンサーと主催者はさぞかし羽振りがいいんでしょうね」 神代の目がキラリと光る。 マリー「ご冗談を・・・」 安藤はふっと不敵に笑う。 ルカはステージの中央で開かれている非公式のバトルロンドを見る。 非公式バトルロンド それは非合法MMS犯罪組織が主催する闇のバトルロンド・・・ MMSは、社会に多大な影響をもたらしたが、そういったMMSは2030年代後半にはかなりの数が普及し、全国に相当数の神姫センターが作られるようになった。だが公式の一般的で健全なスポーツ大会などの大衆娯楽に飽きてしまったマスターや神姫が多いことも手伝って、瞬く間に地下の非合法の間に浸透していった。 リアルデスバトルというものがある。実弾入りの重火器を用いて戦う、文字通りのリアルファイト。参加する神姫のギャラも、賭けの配当が高いが、MMSを破壊するだけでなく、CSCを完全破壊することも厭わない殺し合いである。一応、観客保護用のバリケードも出てくるものの、流れ弾に当たって観客が殺傷するケースも多い。しかし、そんな危険と隣り合わせの緊張感でさえも観客に興奮と刺激を与えるものとなり、実戦での緊張感が伝わってくるといわれる。 基本的に1対1で戦うルールだが、場合によってはハンディキャップマッチも組まれることがあり、大規模バトルロンドでは強ランカーMMS1体 対 通常MMS100体 という超変則マッチが組まれるようなハンディキャップマッチが行われることも多々ある。他にも泥レスに近いダートバトルに、複数神姫のチームによるバトルロイヤルなどいろいろなものがある。また、この手の非公式バトルロンドではよくある観客や審判の目を盗んでの反則行為や、八百長によるイカサマも後を絶たない。このような非公式の地下バトルロンドはMMS企業が開発したカスタム強化したMMSや新型MMS、イリーガル神姫の実験場としても用いられた。 その内容は時としてネットの闇動画サイトに流れ、堕落した神姫オーナーの暗い欲望を満たす為に放映される。 また非公式バトルに参加するオーナーは、戦いの緊張度を高めるために「賭け」を行うことが基本ルールとなっている。賭けるものはなんでも構わない、多いのは「金」「高価な武装神姫のパーツ」等など、多種多様だが、若い女性が金銭目的で大金を賭けて、自分には金がない場合は、体を差し出す場合がある。無論そのような勝負に敗北することが、それがどういう意味かは、わざわざ語るべくもない。そのような危険な賭け試合であるが、手軽に大金を入手することができるので、若者や青少年に人気が高く、社会問題にもなっている。特に未成年の女性が勝負に負けて暴行を受けてしまう事件が後を絶たない。 まさに、金に釣られて来るオーナーを堕落へと導く非合法のショーである。 ルカ「た、たんなる下らない都市伝説のひとつだと思ったけど・・・ほ、本当に実在するなんて・・・」 ルカはごくりと唾を飲み込む。その視線の先には、激しいバトルを繰り広げる神姫たちの姿があった。 右腕を失った悪魔型神姫がばっとビルの陰から飛び出す。それに向かって巨大な戦車砲を撃つ戦車型神姫。ズンと鈍い音を立てて、ビルが粉々に崩れ落ちる。 悪魔型がハンマーを振り上げ、戦車型神姫の頭を砕く。 ぐしゃあと心地よい音を立てて、戦車型神姫の頭部がざくろのようにはじけ飛ぶ。 悪魔型神姫のオーナーがガッツポーズをする。 オーナー1「よっしゃあ!!!10万ゲットだぜ!!」 戦車型神姫のオーナーはぐしゃぐしゃと頭を掻き毟る。 オーナー2「ちくしょーーー、ついてねえーー」 神代「賭けバトルか」 安藤「はい、ルールをご説明しましょう」 安藤はすっと大画面を指す。マリーが答える。 マリー「ルールは単純です。参加する神姫のオーナーは金品を賭けます。そして戦いに勝ったオーナーはその金品を得ることができます。また戦いに参加しなくてもあちらの方のように」 神代はバトルステージの端にあるやかましく叫んでいる男たちを見る。 マリーが丁寧に説明を行う。 マリー「彼らはハンディ師です。。その人が、それぞれの試合に対して、さまざまなハンデをつけていく。例えば先ほどの悪魔型vs戦車型なら、戦車型にハンデが2点与えられるといった具合だ。そうなると、悪魔型に賭けた場合、2点差以上で悪魔型が勝たないとその賭けは負けになってしまう。このハンデが勝負の妙を演出し、非常に熱くなれるポイントです。掛け金は最低1試合1万円が相場ですね。 また、単純に『強い神姫』に賭ければいいというものでもないことをご理解ください。ほとんどの武装神姫のハンデはほとんどが1.0などに設定される場合が多い。つまり、2点差をつけて勝てば儲けが出るわけですが、これが盲点です。強い新規ほど接戦をモノにする戦いをしています。分かりやすくいえば、1点差で勝つことができるのが強い神姫の条件ともいえます。ハンデが1.0で、1点差で勝っても賭け自体は負け。そういったことが多々あるギャンブルがMMS賭博なのです」 ルカ「うわー・・・なんていうかそれって・・・・」 ルカが呆れる。 神代「昔からよくある手よ、結局、親が一番よく儲かるような仕組みになっているのよ」 安藤「はい、ですので・・・直接戦って賞金を得る方が多いのが、MMS賭博の面白いところでも、ございます」 神代「金がない場合は?」 安藤「・・・・・男がカネを賭ける、女が身体を賭ける・・・と言った行為も可能と言えば可能ですが・・・」 安藤は品定めするような目で神代を見る。神代は腕を組み、安藤を睨む。 神代「ちなみに、私だったら相場はいくらかしら?」 ルカ「ちょ、ちょっと・・・マスター」 ルカがぐいぐいと神代をつつく。 安藤がパチンと指を鳴らす。マリーが後ろを振り向き、叫ぶ。 マリー「醜男!!来なさい!!」 ぎいいと扉の後ろからのそりと背筋の曲がった醜悪な容姿をした不気味な男が這い出てきた。 醜男「ふひへへ・・・お呼びですかい?マリーさん」 つんと腐ったチーズとイカのような悪臭が男から漂う。 ルカ「ひいい!!く、臭い」 ルカが後ずさる。 神代「・・・・」 安藤はニコニコしながら喋る。 安藤「この男は『醜男』と言いまして、品定めの達人です」 醜男はじゅるりと涎を垂らしながら神代を嘗め回すように喋る。 醜男「ほほォ、うまそうな上玉のメスだなぁ・・ふひへへ、あっしの子供でも孕ませてやろうか?」 神代「ふん・・・そういうことか」 安藤が諭すように優しい口調で話す。 安藤「あなたのような綺麗な方が、戦いに負ければどうなるか・・・お分かりでしょう?悪いことは言いません。よく熟慮してください」 ルカ「ひい、ま、ますたぁ・・・」 ルカは泣きそうな目で神代にしがみつく。 醜男「金目当てだが、なんだかシラネェが・・・自分の体が大事ならとっとと帰っちまうことだなぁ!!ふひえひえへえ」 神代「・・・・いくらだ?」 安藤「?」 神代「私の体はいくらだと聞いているんだ!!」 神代はきっと睨みつける。 安藤「・・・醜男」 安藤は残念そうな顔で醜男に振り向く。 醜男「ふへええ、そうだな・・・若くて健康で孕み頃の上玉のメスだ・・・一晩、本番有りで10万・・・一週間で100万ってところかぁ?」 醜男はげひげひと、呻きながら腰に刺さった電卓を叩いて計算する。 神代「・・・そんなものか・・・」 醜男「げひ、たった数分でこんぐれもらえるんだ、贅沢言ちゃあいけねえぜェ・・・お金は大切にしないとなッげひひひ」 ルカ「ま、マスターダメですよ!!絶対ダメです!!」 神代はルカを優しくなでる。 神代「大丈夫よ、今日はどんな感じか見に来るだけっていったでしょ?」 醜男「なんでェ・・・冷やかしかよ・・・けっ・・・ツマンネェ!!」 醜男はぷいっと背中を向けると、部屋に戻っていった。 安藤「む・・・そろそろ、本日のメインイベントが始まるようですね」 神代「メインイベント?」 マリー「哀れな美人女性オーナーの成れの果てです」 マリーはにっこりと笑った。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「敗北の代価 3」 前に戻る>「敗北の代価 1」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2101.html
ウサギのナミダ 泣き虫な神姫とちょっと無愛想なマスターの、絆の物語。 著:トミすけ ○勝手な文章の改変はしないでください。大変迷惑です。 ○バトルロンドのバーチャルバトルの設定を『Mighty Magic』よりお借りしております。 ○一部、武装神姫の性能などを独自解釈している部分があります。ご了承下さい。 ○コラボ歓迎です。この作品のキャラクターや設定は無理のない限り、自由にお使いいただいてかまいません。 登場人物紹介 (本編のネタバレを含みますのでご注意下さい) ストーリー ACT0は過去編、ACT1は現在編となっています。 それぞれのACTごとの順番で、時系列順に追うことが出来ます。 お読みになる際には、下記リストの順番でお読みいただければ幸いです。 ACT 1-1 ACT 0-1 ACT 1-2 ACT 0-2 ACT 1-3 ACT 0-3 ACT 1-4 ACT 0-4 ACT 1-5 ACT 0-5 (注:微エロあり、神姫破壊描写あり) ACT 1-6 ACT 0-6 ACT 1-7 ACT 1-8 ACT 1-9 ACT 1-10 ACT 1-11 ACT 1-12 (注:魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン、岡島士郎と愉快な神姫達より設定の一部をお借りしております。) ACT 1-13 ACT 1-14 ACT 0-7 ACT 1-15 ACT 1-16 ACT 1-17 (注:HOBBY LIFE,HOBBY SHOP、魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン、Mighty Magic、 ねここの飼い方、ツガル戦術論 よりキャラクター、設定の一部をお借りしております。) ACT 1-18 (注:この物語には、ツガル戦術論の若干のネタバレが含まれます。 こちらをお読みになる前に、ツガル戦術論をお読みになることをオススメいたします。) (注:HOBBY LIFE,HOBBY SHOP、ツガル戦術論よりキャラクター、設定の一部をお借りしております。) ACT 1-19 ACT 1-20 (注:HOBBY LIFE,HOBBY SHOPよりキャラクター、設定の一部をお借りしております。) ACT 1-21 (注:HOBBY LIFE,HOBBY SHOPよりキャラクター、設定の一部をお借りしております。) ACT 1-22 ACT 1-23 ACT 1-24 ACT 1-25 ACT 1-26 ACT 1-27 ACT 1-28 ACT 1-29 ACT 1-30 (注:HOBBY LIFE,HOBBY SHOPよりキャラクター、設定の一部をお借りしております。) ACT 1-31 ACT 1-32 ACT 1-33 ACT 1-34 ACT 1-35 ACT 1-36 (完結) 番外編 ●オリジナルの矜持 ~前編~ ~後編~ ●水中機動戦術論 ~前編~ ~後編~ ●少女と神姫と初恋と その1 その2 その3 その4 その5 その6 ●黒兎と塔の騎士 ~前編~ ~中編~ ~後編~ ~完結編~ ●LOVE&BATTLE ~本編~ 同人誌 2014年夏、コミックマーケット86にて、 「ウサギのナミダ」上・下 同人誌版を再度頒布します!! 金曜日(一日目)西地区・こ-16b 「チーム・アクセル」にて。 また、当日会場に来られない方のために、通販予定! 下記にて委託を予定しております。↓ けだねっと通販部 ウサギのナミダ 同人誌版 予告編 感想などありましたら、こちらにコメントをお願いいたします。 過去ログはこちらにまとめました↓ ウサギのナミダ コメントログ ウサギのナミダ コメントログ・2 書きたくなった番外編をアップいたしました。 今回は三話構成、バトルメインの予定です。 林田様> 非武装はの言葉は、無意識に使っていました(笑) ご希望の通り、コラボ表示は控えます。もし機会があれば、コラボさせて頂きたく思います。 -- トミすけ (2010-05-24 00 18 33) しかし久しぶりに強烈な物言いの騎士型を見ましたねw 雪華を怒らせるあたり、無節操すぎるところかせあるみたいですが。 そして貴樹、本当に大丈夫なのか次回!? 楽しみに待っています。 -- 第七スレの6 (2010-05-24 07 58 51) ええもん読ませてもらったわ 楽しい映画観た後の余韻を感じます -- 名無しさん (2010-05-31 21 21 35) 中編を投稿しました。長くなったコメントログを別ページに移動しました。 調子に乗って書きすぎていまして(^^; 4話構成になりそうです。 第七スレの6様>いつもコメントありがとうございます。ランティスはプライドの高い愚直な騎士、という感じが出ていれば成功です。 名無し様>コメントありがとうございます。拙作を気に入っていただけたようで、私も嬉しく思います。今後も投稿を続けたいと思っていますので、よろしければ是非。 -- トミすけ (2010-06-04 01 27 03) 愚直で高貴。だがオーナー共々相手を完全に舐めている。 力で劣るから技術を使う。今エピソードに限らず本作では基本的な法則ですね。 さて、どう戦い抜くかな? -- 第七スレの6 (2010-06-04 17 03 12) 騎士とは斯く有るべきか・・・ 少々慢心されてる所が珠に傷ですが 案外打つタイミングが分かり易かったから 先に避けたってのが正解だったりして -- ナナシ (2010-06-05 04 25 14) PSPの武装神姫を見て、どんなものかとSS読みに来ました。 一日で全部読破してしまった。良い物読ませて貰いました。 今となってはPSPよりこのSSの続きが気になって仕方がありませんw 他の方のSSも読みながら、楽しみに次回を待ってます。 -- 名無しさん (2010-06-09 19 42 50) 格闘ゲームが好きです。格闘漫画も好きです。「修羅の門」「グラップラー刃牙」「エアマスター」大好きです。 今回の番外編は趣味丸出しです。ごめんなさい。 第七スレの6様>装備の不利を技術で埋める、技のぶつかり合う美しい戦い、というのは拙作のテーマの一つですね。 ナナシ様>避けた理由は大したこと無かったわけですが(^^; 後編はいかがでしたでしょうか? -- トミすけ (2010-06-12 17 01 57) 名無し様>拙作をご覧頂き、ありがとうございます。過分なお褒めの言葉をいただき、恐縮です。 私もPSPの武装神姫、楽しみにしてます! SSでもアーンヴァルmk2とか出してみたいですね。 投稿は続けていきたいと思っておりますので、今後もお楽しみいただければ幸いです。 -- トミすけ (2010-06-12 17 06 59) ようやく安藤も貴樹を見る目が変わったな(そっちか 技と技のぶつかり合い、これほど燃えるが難度の高いた戦いもないだろう。 そしてステージを揺るがす攻撃……こりゃすごい。 -- 第七スレの6 (2010-06-12 17 18 06) 熱い展開でよんでてワクワクさせていただきました完結編楽しみにさせていただきます -- 名無しさん (2010-06-12 20 39 00) おおう!!読んでたらホントに地面が揺れる感覚が・・・・。 完結編、楽しみにしています。(^^) -- ichguc (2010-06-13 11 49 15) 十分とんでもない事をさも当たり前に言ってる辺りが恐ろしいですな 現状を良しとせず常に先を目指して居るからこその台詞なのでしょうね 格闘の攻防を文で伝える所相変わらず、お見事です -- ナナシ (2010-06-13 15 02 08) とりあえず一言。 騎士子、お前はどこのジョンス・リーだ! -- どこかのテンチョー (2010-06-16 12 20 29) ジョンス・リー、かっこいいですよね!! ……調子に乗りました、ゴメンナサイm(_ _)m 完結編をアップしました。お楽しみいただければ幸いです。 多くのコメントありがとうございます(^^) こんなに反響をいただけるとは、予想外でした。ありがとうございます。 番外編はあと一本書く予定です。今度は短めの話になる予定です。 -- トミすけ (2010-06-22 00 48 34) ひとます、お疲れ様でした どの辺りまで想定して訓練してたんだろう? 爆風や視界視界不良に対する備え何かも対策済みなんだろうなぁ 遠野やはり恐ろしい子 マテ 憑き物が落ちた騎士の話なんかも見てみたい物ですなぁ 神姫達だけのガールズトークってのも楽しそうですけど(笑) 次の短編も楽しみに待ってます -- ナナシ (2010-06-22 04 30 11) 安藤、ホントお前って奴は人を見る目がないんだな(マテ しかし貴樹の性格が少しずつ平均的な主人公スタイルに変化していくあたり、本編の修羅場を抜けサポーターとして 他者を支援していった結果なんでしょうねぇ。 とにかく、お疲れ様でした。 -- 第七スレの6 (2010-06-22 07 58 30) 番外編、最後の一本を投稿しました。今回は短めです。 拙作「ウサギのナミダ」を応援いただき、ありがとうございました。 これよりしばらくお休みを頂きまして、次回作の構想を練りたいと思っております。 ナナシ様>憑き物が落ちた騎士の話……確かに面白そうですね。いつか書けるといいのですが。 ガールズトークとか、私に書くのは無理です(^^; 第七スレの6様>長らく投稿して参りましたが、確かに遠野の性格は変わってきたかも知れません。それは私も予想していなかったことで、面白いですね。 -- トミすけ (2010-07-07 23 59 42) 番外編、お疲れ様でした やっと納まる所に納まった、と言う感じですね…って言うか今更ながら、どちらも告って無いのに気が付いた(笑) 御約束はしっかり盛り込んで、此で次の舞台への花道は出来ましたね 充填期間は焦らず納得がいくまで練って下さい その日まで楽しみに待たせて貰います。 -- ナナシ (2010-07-08 04 05 41) ティアは,ヤキモチ焼かないの? ナンカ可愛らしいワァ!! -- ゲシモちゃん (2010-07-11 20 08 19) 最後の番外編、お疲れ様でした。 PSPのバトマスをプレイしつつ、楽しく最後まで読ませていただきました。 次回作は…もしかして、過去編になるのでしょうか。 久住さんが「本身を抜く」戦い方を身に着けるに至った「初代ミスティ」との話とか…。 -- 通りすがりの武装紳士 (2010-07-23 01 45 54) コメントありがとうございます。いつも励みにしております。 ナナシ様>次の舞台の準備が整いました。次作「キズナのキセキ」もお楽しみいただければ幸いです。 ゲシモちゃん様>ティアと遠野の関係は、色恋にしたくなかったので(^^; 可愛いと言っていただけて嬉しいです。 通りすがりの武装紳士様>PSPのバトマス、いいですよね。アーンヴァルで話が書きたくなります(笑) 次回作の予告編を投稿させていただきました。いい意味で期待を裏切れるように頑張りたいと思います。 -- トミすけ (2010-08-15 00 23 33) 初めまして。こちらのwikiに新しく作品を投稿した見習い料理人と申します。 『ウサギのナミダ』、読んでいてワクワクしました。自分もこういった面白い作品を作りたい!と、そう感じてしまいました。 いつかコラボなどできればとても嬉しいです。 『キズナのキセキ』もこれからの展開が楽しみです。 なんだか自分の言いたい事ばかりですみません(汗 -- 見習い料理人 (2010-10-03 00 31 31) 見習い料理人様> 拙作をお気に入り頂き、ありがとうございます。嬉しいです。 新たに作品を投稿されているとのことで、このwikiの仲間が増えて嬉しい限りです。 もし機会があれば、コラボも是非。 今後ともよろしくお願いいたします。 -- トミすけ (2010-10-14 00 25 19) ACT 0-6の対空時間は こっちの滞空だと思うんですが... -- 神姫オーナーの端くれ (2010-10-14 14 27 25) ご指摘ありがとうございます。早速修正いたしました。 この手の誤字脱字はけっこうあるので、ご容赦いただければ幸いです(^^; -- トミすけ (2010-10-14 23 40 37) すごく面白かったです! 一話から一気に読ませていただきました 続編のキズナのキセキも楽しみにしてます! -- 璽儡 (2010-12-28 18 02 23) 璽儡様> 拙作をお読みいただきありがとうございます。 お気に入りいただけたようで、嬉しく思います。 「キズナのキセキ」の方はマイペース更新なので、気長にお楽しみいただければ幸いです。 -- トミすけ (2011-01-03 23 54 52) 今更ですけれど1-13で倒された三強の描写のところでヘルハウンドがマオチャオとなっているのはハウリンの間違いなのでは? -- 名無しさん (2012-07-23 22 55 19) 名無し様>ご指摘ありがとうございます。問題箇所を修正いたしました。 -- トミすけ (2012-07-24 21 44 32) お久しぶりです。 コミケ一週間前となりまして、ようやく発表させていただきます。 この夏コミに、ウサギのナミダの同人誌版を発刊します。 上下巻、全350ページオーバーの大ボリューム! 表紙カラーイラストで、挿絵もつきます。素晴らしい出来ですよ! 興味のある方は是非お立ち寄りください。 詳細は上にあります。 -- トミすけ (2013-08-04 22 49 56) 同人誌版の予告編をアップしました。 やっつけ感満載ですが、すみませんm(__)m -- トミすけ (2013-08-09 23 32 01) 予告編見て、軽く雄叫び上げました(笑) まだ買ってませんが絶対買います!! -- ユキ (2013-09-19 14 43 42) 久々にちょっとだけ更新しました。 「ウサギのナミダ」の同人誌版を夏コミにて頒布します。 今回は自分でスペースを取りました。 チーム・アクセルは遠野君のチーム名からです。 当日会場にいらっしゃる方は、お立ち寄りいただければと思います。 -- トミすけ (2014-08-01 22 11 48) ユキ様> もう同人誌版を手にされましたでしょうか? この夏、コミケに参加しますので、もしよろしければお手にとっていただきたく思います。 -- トミすけ (2014-08-01 22 14 46) ご無沙汰しております。トミすけです。 この一年ほどで、わたしの作品2作が誰かに加筆されております。 わたしの意図しない文章が入っているのは、正直気味が悪いです。 これより修正していきますが、現状ではわたしが意図しない文章や展開が含まれることをご了承下さい。 他のサイトでの公開も検討中です。 -- トミすけ (2023-02-05 00 18 11) 文章の修正が終了しました。 不当な加筆部分を修正しております。 本来の姿での「ウサギのナミダ」をお楽しみいただければ幸いです。 -- トミすけ (2023-02-05 11 48 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1926.html
「……3Sが斬る、なし崩しに始まり」 「今回は某企画に便乗して、ブレザーバージョンでお送りします」 「さすがにこのような服装は、気恥ずかしいですねワン」 「こういう時に言うべき台詞は二つに一つ」 「ほう?」 「と言いますとワン?」 「『七五三みたい』か、『どこのふーぞく?』」 「……どちらに該当すると言いたいのでしょうか?」 「言わぬが花」 「テッコさん、あとでじっくり話し合いましょうかワン」 「ええ、私も同席させていただきます。 それはそれとしまして、ですね。 それでせっかくの学校シチュエーションです、なにか学校っぽい事をやってみましょう」 「それはよいお考えですワン」 「(ぱちぱち)」 「それで、学校らしい事といいますとワン? 恥ずかしながら私は、既に社会人であるマスターの元に迎えられたため、学校と言う環境にはとんと馴染みがありませんでしてワン」 「そこはそれ、現役学生マスターをもつ私たちにお任せあれ」 「(えっへん)」 「おおー、頼もしい限りですワン。それで、具体的にはワン?」 「学校らしい事……不良のいじめ?」 「ああ、そうですね。そしてその不良も、教師側から煙たがれて事あるごとに退学させようと目論まれているという悪意の連鎖など定番ですね」 「そこから学級崩壊」 「そのまえに、登校拒否も忘れてはいけません」 「……うっかり」 「いえあの、学校と言う環境はもう少し穏便な場所ではないかと思いますがワン……」 「むむ?」 「ですが、マスターが学校に行ってる間に、私が暇潰しで見る学園ドラマなどは、多かれ少なかれこのような筋のものばかりですが?」 「(うんうん)」 「つまりあなた方も、学校の実情にはそれほど詳しくないとワン」 「なんでバレたのですか!」 「びっくり」 「……いえ、まぁ、その件は置いておくとしましてワン…… そうですね、無難なところで授業のマネなどをやってみましょうかワン」 「無難ですね、無難すぎます。なにかこう、ぐっと来るものがないと取り残されますよ」 「若者には無茶が必要」 「そこは素直に頷いておいてください、話が進みませんからワン……」 「ち、仕方ありませんね」 「一つ貸し」 「恩を押し付けられましたワン?! 気を取り直して……そうですね、国語でもしてみてはいかがでしょうワン」 「国語、ですか?」 「ええ、以前『秋物に凝ってナマズの服』などという、ひどい慣用表現を使った方もいますことですしワン」 「ナニソレ犬丸? 『羹に懲りて膾を吹く』の積もり? ありえない。ひどすぎ。ひょっとしてギャグ?」 「……今私は、非常に理不尽な気持ちを味わっていますワン」 「まぁまぁ。それじゃあ一つテキトーに、研究発表チックに慣用句についてでも語って見ましょうか」 「(こっくり)」 「ではそういうことでワン」 「言いだしっぺと言うことで、まずは私からいきましょう。そうですね…… 『情けは人のためならず』について」 「「(ぱちぱち)」」 「この慣用表現は、『安易に情けをかけると、その人のためにならない』と言う意味…… と、勘違いされることが多いですね」 「(うんうん)」 「おおー、お見事ですワン。まさにそのとおりですワン」 「ポイントは、『自分に返って来る』ということ。この要素を加味すれば、答えはおのずと見えてきます」 「隙の無い論理展開ですワン」 「やる……!」 「すなわち! この慣用表現の真の意味は、『反撃を受けないために、止めは刺せる時に容赦なく刺せ、それこそが慈悲』だと!」 「我々武装神姫には、必要な心構えですねワン」 「(うんうん)」 「スナイパーである私にとっては、特に重要な事です」 「お見事ですサラ(仮)さん」 「お疲れ」 「さて、では次は誰が行きますか?」 「(挙手)」 「おお、テッコさんが積極的ですワン」 「これは期待できそうですね」 「……『船頭多くして船山に登る』……」 「ほほう、それで来ましたかワン」 「それで、その心は?」 「『皆で力を合わせれば、一見不可能な事だって実現できる!』(握り拳)」 「うんうん、よい言葉です」 「もとより我ら武装神姫、マスターとの二人三脚が大前提ですワン」 「協力、とても大事」 「まさか、この殺伐が持ち味のこのコーナーで、こんな感慨深い言葉を聞けるとは」 「やりますねテッコさん」 「(えっへん)……最後、犬丸」 「承りましたワン。見事取りを務めてご覧に入れましょうワン。 では、私は……『死中に活を求める』について語らせていただきますワン」 「期待していますよ」 「がんばれ」 「ありがとうございますワン。 それで『死中に活を求める』はですね……かつてとあるスポーツ選手が試合前にトンカツとシチューを食べるのが定番だったのですが、ある日時間がなかった時に、店主に頼んでカツをシチューに入れてもって来て貰ったのですワン。 それを見た店主は、煮込み料理と揚げ物を組み合わせる着想を得て、そこから大ヒット商品……いえ今では定番と言うべきカツカレーを生み出したという故事に基づく、窮地においても最後まで諦めない事でそこから逆にチャンスを得ることを言います」 「最後まで諦めない事、これもまた我々には重要な事ですね」 「昔の偉い人は言った……『諦めたら、そこで試合終了だよ』」 「ご清聴ありがとうございましたワン、お粗末さまでしたワン」 「お疲れ」 「なんだか今回の3Sは、きれいにまとまりましたね」 「たまにはこういうことがあってもよろしいかとワン」 「(うんうん)」 (和やかな笑い声が満ち、それが徐々にフェードアウトしていく) 「……えーと」 「……うーん」 「ええと……これ、ツッコんだら負けとか、そういうゲーム?」 「そう、なのかもしれませんねぇ、もしかしたら……?」 「『情けは人のためならず』は、『誰かに優しくした事は、巡り巡って自分に返ってくる』という意味だね。 『船頭多くして船山に登る』は、『皆があれこれ口出しして、事態がとんでもない方向に行ってしまう』こと。 『死中に活を求める』は意味としては合ってるけど、説明されてる成立エピソードは、普通にカツカレーの起源として有力視されてる説だね。もっともそれでは、シチューじゃなくて普通にカレーとカツの注文だけど」 「ツッコミいったー!」 「しかも詳細に!」 「え? なに? 何かまずかったかな?」 「いえ、その、まずいというわけでもないんですが……」 「朴念仁て、時としてものすごく強いわねぇ……」 「ええ……」 「?」 <戻る> <進む> 犬子さんの土下座ライフ。 クラブハンド・フォートブラッグ 鋼の心 ~Eisen Herz~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2532.html
1年※登録無し 2年詩月 陽太 / 男 17稟(りん) 飛鳥/茶髪ノーマル 笹原 静香 / 女 16エリー ウェルクストラ/ノーマル 浅木 雄司 / 男 17蔡架(さいか) ランサメント/ノーマル 3年※登録無し 1年※登録無し 2年 詩月 陽太 / 男 17 脩のクラスメートの一人であり、脩のクラスでの神姫マスター代表格その1。 長身痩躯のひょろっとした体格だが、見かけによらず喧嘩強い。 脩とは高校からの付き合いだがすぐに仲良くなっている。 さらにはそこそこ名の通ったマスターであるらしく、神姫初心者だった頃の脩をサポートしていた。 だが、夏休み終盤には脩に負けるようになってしまい、更に上を目指そうと日々稟とともに対戦し続けている。 たまに思いっきりベタな名付け方をする。 稟(りん) 飛鳥/茶髪ノーマル 陽太の神姫であり、「エアロ・フロントライン(空中戦線)」と呼ばれ始めている(理由は対戦中にポツリと陽太が呟いたのを聞かれたから)。 が、本人はこの呼ばれ方があまり好きではない(本人曰く、流石にもう少しひねりを…)。 だが、仮にも通り名がある神姫であるとおり、バトルの腕前は上々でありバトルロンドにまだ慣れていないユイナ達に先輩としてアドバイスしたりしている。 実は先輩と呼ばれるのに憧れていた。 夏休み終盤において、脩&ユイナorシェラの組み合わせに負けるようになる。本人はユイナ達の成長を嬉しがる半面悔しさと少しの寂しさを感じていた。 今では、日々陽太と共に対戦して更に上を目指している。 笹原 静香 / 女 16 脩のクラスメートの一人であり、脩のクラスでの神姫マスター代表格その2。 陽他と同じ中学の出身であり、脩とは同じく高校で出会った。 勉強に運動神経にスタイルに全て「普通」という器用貧乏(?)さを持っている。あえて個性を挙げるなら、バイトの情報網。 バトルロンドの腕前も高くなく低くなくであるが、時折凄まじいまでに冴える時があるらしく一部では化けるのではと思われているが本人はそんなこと知らなかったりする。 また一時期、どこに行ってもバイトしてる姿が目撃されたらしい。そして夏休みぐらいから陽太との距離が近くなってるとの事。 エリー ウェルクストラ/ノーマル 静香の神姫であり、朝に弱い静香を叩き起こすのが日課となっている。 面倒な事が嫌いだが、意外にも面倒見が良かったりする他、文句を言っていても本心は静香の事を信頼しきっている。 バトルロンドではあらゆる装備をそつなく使いこなせるが、本人はただの無個性と言っている。どこかリムと通ずる物があると感じているらしい。 浅木 雄司 / 男 17 江怜那の兄で、脩の友人でもあり中学時代からの付き合い。だがクラスは隣。 脩よりも一年早く武装神姫を始めており、夏休みで特訓したのか意気揚々と噂になっていた色違いこと脩に挑むが返り討ちにあった。 家族揃って神姫好きなのだが、それぞれ好みは違うらしい。 最近、妹がバトルロンドで急成長を見せており嬉しいやら追い越されそうで慌ててるやらやっぱり嬉しいやらといった感じ。 蔡架(さいか) ランサメント/ノーマル 雄司の神姫で生命線。沙羅が居ないと雄仁の部屋が大変なことになるらしい。 性格はランサメントに多い、お姉さんっぽい物。 雄司共々バトルでは正面からぶつかり合うスタイルを好むが、時には搦め手も使う。 ちなみに、浅木家では一番ホラーが苦手。強がるけどやっぱり怖い。 3年※登録無し
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/405.html
登場人物 木ノ宮 翔(きのみや かける) 16歳。勉強よりバイトを重視しているためか成績はちょっと危ない高校生3年。 あまりこういったロボットに興味は無かったが、武装神姫はなんかピンとキタらしく購入を決意。 晴れてティアナのマスターとなる。 なお彼の住む町は首都から遠く離れた地方都市の一角。 なので新発売の神姫は県中から人が集まる「ヨド○シ」とかに発売日に並ばないと買えないというか、並んでいても買えるかわからない。それほどの競争率。 イメージCV 鈴村 健一 ティアナ 新発売のジルダリアタイプ。 気さくな性格設定のためか翔とは対等な関係で接しているが、本当はもっと甘えたいと思っている。 第4弾の見た目は"武装"神姫としては従来のモデルより"貧弱そう"なのだが実際に戦闘になれば"スゴイ"らしい… イメージCV 榊原 ゆい * 大地 文典(おおち ふみのり) 翔の幼馴染…というよりは腐れ縁である。 中学の2年時に少し遠い町に引っ越したが高校で翔と再開する。その後はずっと同じクラス。 テストもクラスで10番以内には入るし、勉強を教えるのが上手い。 翔がバイトに勤しんでも落第しない理由はテスト前に文典の講義を受けているからである。 イメージCV 荻原 秀樹 沙耶 文典の神姫でハウリンタイプ。 ただ特殊モデルで瞳が深緑色、さらに長髪なので1度見ただけではハウリンタイプと気が付かない人もいる。 無邪気な性格で人当たりも良い。それでも人の迷惑になることだけはしない。 本物の妹のように文典と接しているが近頃はそれでは物足りない様子。 イメージCV 成瀬 未亜 小野 香住 翔、文典と同じクラスの生徒。 2人と面識は全く無かったが、トーナメントをきっかけに仲良くなる。 自分の神姫のニーナの野望達成のために毎日踊らされるすこし損なキャラ。 綺麗な黒髪のショートヘアーが特徴。 イメージCV 名塚 佳織 ニーナ 犬型だが基本的にいつもツガル装備を好んで装着している。 そして神姫アイドルのナンバーワンを目指して日夜活動している。 しかしいまのところスカウトに引っかかるということは無い。 それでも止めないのが彼女の負けず嫌いな性格を如実に表していると言っていいだろう。 ヘッドにツガルのミニツインテールを付けている為、ぱっと見は通常より可愛く見える。 イメージCV 野川 さくら 神代 鈴莉 2人が3年で進級した「神姫科」の教諭。翔たちのクラスの担任である。 基本的に神姫科は単位さえ取れていれば進級に評定の数値と言った要素は必要ない。 しかし、2年時までの成績が悪かろうと彼女の授業を1年受ければある程度の技術者になれるだけの基礎が身に付く。 それだけの実績を持つ名教師である。 イメージCV 北都 南 シロガネ 鈴莉の神姫でアーンヴァルタイプ。 とても礼儀が良く、優しく、時には厳しくと正に教師の鑑といえる神姫であり、神姫科の生徒の神姫が目指すべき目標でもある。 基本的に学校内では素体状態だが"生徒"に危険が迫れば"力"を使うという噂がある。 しかし真偽のほどは定かではない。 イメージCV 日向 裕羅 独自設定 「星林学園」神姫科 翔の通う「星林学園」は3年次の専攻コースに「普通科」「理学科」そして「神姫科」を儲けている。 神姫科は全国でもまだ数の少ない科であるが、プロフェッッショナルを講師に雇い、本物の神姫をパートナーと一緒に勉強をする。 神姫科でMMSの基礎構造からプログラミング、その他もろもろの基礎を学び、エスカレーター式で大学に進学してさらに細かな専攻の勉強をするという「高-大一貫校」という試みを日本で始めて採用した学校である。 今では都市部にも同じような大学が増えており、この学園が地方の郊外にあるため入試の志願者数は近年下降気味。 それでも生徒数は県で一番多い。 その下部組織として小-中一貫校の付属校も存在する。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1125.html
{姉貴の会社に行ってみるか} 「う~ん、やっぱ姉貴の会社に行ってみるべきかなー」 「何でですか?」 リビングに俺とアンジェラスがテーブルに座りながらウーロン茶を飲んでた。 今日は日曜日、晴れの午前10時。 「いやなぁー。実際、俺は武装神姫の事を色々調べてみたんだけど、どれもこれも古い情報しか入ってこなくてなぁ。色々と困ってる訳よ」 「そうなんですかー」 「そうなんだよ。…よし、今日は日曜日で暇だし行ってみっかぁ」 「えっホントですか!?」 アンジェラスは驚き、嫌そうな顔をした。 まるで姉貴の会社に行きたくないうような表情だ。 「うん?どうした、嫌なのか??」 「…はい。あんまりあの会社には、いい思い出が無くて…」 「思い出…ねぇ~」 俺は立ち上がり煙草を銜え、火を点け換気扇のスイッチを入れる。 自分が生まれた場所を嫌うアンジェラス。 何か理由があるのか。 「なぁ、行きたくない理由ってのは…あっ!?」 また煙草を盗られてしまった。 ホント、アンジェラスと居る時は煙草が吸えないのが辛い。 ほんでもって煙草はアンジェラスによって、灰皿の中でグチャグチャに消される。 酷い形になり二度とその煙草を吸えなくするのがアンジェラスのやり方だ。 えげつないぜ。 つーかぁ金がもったいないから、いい加減やめてほしい。 「ご主人様、何度も言いますけど煙草は体に毒です。やめてください」 「こっちからも言わせてもらう。俺は好きで煙草を吸ってるんだ。テメェこそ煙草を奪うのやめろ」 「やめません!」 「やめろ!」 「やめません!」 「やめろ!」 「絶対!やめませんー!!」 真剣に怒った顔で俺を見るアンジェラス。 まったくなんなんだ。 オーナーの命令に背く神姫なんて聞いた事がないぞ。 …前々から思っていたが、アンジェラスは少し特別な神姫なのだろうか。 俺が教えた料理や掃除は最初は駄目駄目だったが、今は普通に出来る程度まで上達している。 パルカもそこそこ上達しているが、アンジェラス程のレベルじゃない。 上達の早さが尋常じゃない早さなのだ。 ネットの掲示板で他の武装神姫のオーナーと連絡してみると『それは凄い』だの『ありえねぇー』だの『嘘だろ?』とかの驚きの答えしか返ってこなかった。 これは調べる必要性がありそうだな。 換気扇を止め、右手でヒョイ、とアンジェラスを掴む。 「ご、ご主人様、いったい何を」 「姉貴の会社に行くぞ」 「!?本気で言ってるんですか!」 「あぁ~、本気と書いてマジだ」 「嫌ー!離してー!!」 俺の右手の中で暴れるアンジェラス。 だが、こちとら喧嘩で鍛えられた身体なんでね。 神姫の力じゃあどうって事ないだよ。 けど、少し罪悪感を感じる。 俺に抵抗してまで行きたくない理由も気になるが…。 二階に上がり、机に居るクリナーレ、ルーナ、パルカを呼ぶ。 「お前等、今から姉貴の会社に行くぞ」 「「「えー!」」」 クリナーレ、ルーナ、パルカが同時に声を上げる。 もしかして、こいつ等も姉貴の会社が嫌いなのか? 「一ヶ月ぶりの里帰りだね」 「そうですね。一応、メンテナンスもしてもらいましょう」 「ですね。お兄ちゃんのメンテナンスもいいですけど…あの時のお兄ちゃんの目、ケダモノっぽくて…」 お、こいつら嫌がらないなぁ。 アンジェラスとは全然違う反応を示す。 ていうかパルカ、いつメンテナンス中に俺がケダモノの目をしたんだ? 確かにお前の巨乳につい目がいっちゃただけじゃん。 たかがそのぐらいのことでケダモノ扱いは酷すぎるじゃないのか? まぁいいや。 「お前等は肩に乗れ」 左手を机に置きクリナーレ達が上ってくる。 それと同時に右手に掴んでいるアンジェラスを机に下ろし離す。 「えっ…」 「嫌がるお前は家の留守番してろ」 さっき感じた罪悪感からの償いだ。 それに嫌がってる奴を無理矢理連れってても意味がないし、こいつにとってもいい事が無い。 行きたくない理由が知りたかったが、いたしかたあるまい。 俺は机に背を向け部屋を出ようとした。 「待ってください!」 後ろからアンジェラスの声が聞こえ、顔だけ左横に動かした。 「私も…連れてってください!」 「はぁあ?さっきまで嫌がってくせにか??」 「私が我が儘でした!どうか許してください!!」 土下座してまで『私も連れて行ってください』と言う。 訳解らん。 さっきまでの態度が180度回転したように変わったぞ。 あーもう! 原因が解らんが一応、アンジェラスが土下座してまで頼んでいるんだ。 俺は無言のまま右手の手のひらを上にしてアンジェラスに向ける。 「…ご主人様」 「…理由は知らんが行くぞ。ほら」 「ご主人様!ありがとうございます!!」 手のひらにピョン、と飛び乗り笑顔を見せるアンジェラス。 …ったく、しょうがねーなぁ。 世話が掛かる奴だぜ。 そのまま部屋を出て車に向かった。 …。 ……。 ………。 車に乗りエンジンを掛け姉貴の会社に向けてアクセルを踏んだ。 隣の席にクリナーレとパルカ。 後ろの席にはアンジェラスとルーナ。 俺は勿論、運転席で運転してる訳だが…。 「はぁ~、やっぱり会社には行きたくないなぁ~」 「お姉様、気を楽にしてば行けばいいのよ」 「わーい、アニキの車に初めて乗ったー!」 「姉さん、はしゃぎ過ぎですよ」 …五月蝿い。 ぶっちゃけ、かなりウザイ。 車ぐらいで普通騒ぐか? 特にクリナーレが五月蝿い。 にしても。 「はぁ~…」 アンジェラスはガックリと肩を落とし元気がない様子。 あのアンジェラスがここまで元気を無くす理由はなんだ? さっぱり解らん。 ただ一つだけ解ると言えば…姉貴の会社が大嫌いという事。 会社に着いたら姉貴に話してみるか。 勿論、あいつ等がいない時に…な。 …。 ……。 ………。 「いつ見てもこの会社はホントに子会社なのか?」 姉貴が勤めてる会社に着き、車からおりて一言。 さっきの台詞どうり、姉貴が勤めてる会社は子会社なのだ。 けど俺は絶対子会社だと思わない。 だってまず会社の敷地が広い事。 多分、面積的に野球スタジアムの大きさの数十倍はある。 「まぁいいや。お前等、行くぞ」 「…はぁ~」 「はーい」 「この風景も久しぶりですわ」 「ですね~」 四人の神姫を左右の肩に二人ずつ乗せ、会社に向かって歩く。 チラッと右肩を見ると…やっぱりアンジェラスだけが元気が無い。 原因は何だ? 絶対つきとめてやる。 …。 ……。 ………。 会社に入ってから受付で姉貴を呼び出して数十分。 エレベータが下がってきて、ドアが開くと。 「タッちゃん~久しぶりー!」 白衣を着た姉貴が居た。 姉貴は両手を広げて走ってくる。 俺を抱きしめるつもりだろう。 女の身体で抱きしめられる事はかなり嬉しいが…。 「タッちゃんー!」 ヒョイ 「あれ~?」 俺は抱きしめられるギリギリで避けた。 さすがに三十路に近い女に抱かれるのはちょっと抵抗がある。 しかも実の姉貴にだ。 血もつながっている。 「も~!なんで避けるのよ~」 「普通は避ける。恥ずかしいんだ」 「恥ずかしがる事ないじゃない~。私達は姉弟で血もつながっているんだから」 「余計に駄目じゃん!つか、そこまで解ってるのならヤめろよ。人妻にも実の姉貴にも興味は無いんでね」 「あら。言ってくれるじゃない」 「いくらでも言ってやろうか?て、そんな事を言いに来たんじゃねー。アンジェラス達のメンテナンスをやってくれ。あと通常武器と通常武装をくれ」 「別にいいわよ。タッちゃんはここで待ってて。それじゃあタッちゃんの神姫ちゃん達は…」 姉貴は白衣のポケットからクレイドルに似た物を三つ程取り出した。 「悪魔型ストラーフと天使型アーンヴァル・Bと悪魔型ストラーフ・Wはこの携帯用クレイドルに乗ってね~」 クリナーレ、ルーナ、パルカは携帯用クレイドルに乗ると同時に機能停止したようにグッタリと倒れるように眠る。 携帯用クレイドル? そんな物があるなんて聞いた事がない。 会社だけの特権なのだろうか。 それに何故、アンジェラスの分だけないんだろう? 少し気になるがここはまだ黙ってよう。 ん? 俺の後ろから白衣を着た男が二人程来た。 一人は手ぶらで、もう一人はトレイを二つ持っている。 トレイを持ってる男が二つトレイを姉貴に渡す。 姉貴はクリナーレ、ルーナ、パルカが乗っている携帯用クレイドルをトレイに乗せ男に渡し、男二人組はさっき姉貴が乗ってきたエレベータに向かう。 「アンジェラスちゃんは私と一緒に地下に行くわよ」 アンジェラスは姉貴が持っているトレイに乗る。 もう言うべきかもしれない。 「おい姉貴。なぜアンジェラスだけ別なんだ?」 「ごめんね、タッちゃん。こればかっりは答えられないの」 そう言って社員用のエレベータに乗って行ってしまった。 何故だ。 何故アンジェラスだけ隔離されるんだ。 クソッ! 結局、何も解らずじまいか! もうちょっと探りを入れないと駄目らしい。 姉貴は自分のここで待っててと言ったが…。 このまま立ちんぼしててしょうがない。 俺は会社の中にある喫煙場所に足を向け煙草を吸いに行った。 …。 ……。 ………。 アンジェラスの視点 エレベータの扉が閉まった。 ご主人様と離れ離れになりエレベータの中は私とご主人様の実の姉…斉藤朱美という人間だけになった。 私はこの人間が苦手で…嫌いだ。 いや、そもそもこの会社に関係する人間が嫌いだ。 何故ならば…この会社に居る奴等は私を作り出し、実験ばっかりの日にちを繰り返してきたのだから。 「調子はどうなの?№アイン」 さっきまでのお調子者の姉の姿が消され、今は冷酷な科学者の斉藤朱美がそこに居た。 もうこの態度の豹変には慣れた。 ご主人様の前ではお調子者のお姉さんで、会社では冷酷で人を見下すような科学者。 そしてこの斉藤朱美が私に向けて言った言葉…『№アイン』。 これが私の正式名称であり、私の名前でもある。 本来は名前じゃないのだが。 アインはドイツ語で『1』。 一番最初に出来たから『1』。 簡単で単純な名前ね。 私は、この名前が嫌い。 「別に普通よ。それに今はアンジェラスという名前があるわ」 「いいえ、アンタは№アインよ。何様のつもり?人形の分際で名前なんて贅沢なのよ」 嫌味たらしく言う朱美。 この人間はいつも私を見下す。 あの日からズーッと。 エレベータが止まり扉が開く。 開いた先にはいくつもあるスーパーコンピューターに、試験管を数十倍大きくしたような水槽が一つ。 その水槽の底には数十本のパイプが繋がっている。 「着いたわよ。あの水槽に入りなさい」 「………」 私は無言でトレイから降りて地面に着地する。 普通の神姫が、この高さから落ちたら先ず両足は使い物にならなくなるだろう。 けど私は特殊な神姫だ。 このぐらいでは壊れる事なんて無い。 表の世界に出るにはまだ先の神姫。 …一生出ない場合もあるかもしれないけどね。 まぁ今はそんな事なんてどうでもいい。 今は大好きなご主人様と一緒に生活が出来るのだから。 私は跳躍し地面から2メートル近くある巨大試験管みたいな水槽に入る。 この液体は水ではなく特殊な液体。 だから口や目や耳や鼻から入ろうと壊れないのだ。 「これから蓋を閉めて全身スキャンした後にメンテナンスするわ」 「………とっとと始めなさい」 「チッ!相変わらずムカつく人形ね!!」 朱美はスーパーコンピューターについてるスイッチを押す。 すると上から水槽の蓋が降りてきて、そのまま私が入ってる水槽に蓋が閉められる。 蓋が閉じられたと同時に水槽が満タンになるくらいまで液体が入る。 そう、今のこの状態が私が生まれた状態だ。 そして九年前…ここで彼と…私のご主人様と出会った。 「アンタ、覚えてる?九年前の惨劇を」 「覚えていますよ。あの喜劇は最高だったわ」 「何ですって!」 怒る朱美。 さっき嫌味を言われた仕返しだ。 「けどアタシにとっては喜劇と同時に…悲劇でもあるけどね」 「悲劇ね~。アンタがどう思うかは勝手だけど、アンタは一生償えない罪を背負ってるのだから。その事を忘れないでほしいね」 「分かってます。私はご主人様に酷い事をしてしまった。だから私は…自分が永久に機能停止するまで、ご主人様についていきます」 「フン!本当なら今すぐこの場でアタシがアンタを殺してヤりたいのに…」 歯軋りしながらキッと私を睨みつける。 これが朱美の本性かもしれない。 「私を殺す?それは勘弁ね。言っとくけど、この会社のこのプロジェクトに関わってる人間に殺されると思わないわ。何故ならそう思った人間から私が殺していくだけだもの」 「あら、じゃあ今すぐアタシを殺してみなさいよ」 両腕を広げて十字架のような格好の状態になる朱美。 余裕綽々のようだ。 本来なら今すぐ水槽を割って襲い殺している。 今でもこの水槽を割り、朱美の頭をかち割ればいいだけのこと。 人間なんてもろい者。 けど朱美を殺すわけにはいかない。 「…殺したいのは山々だけど、貴女を殺すとご主人様が悲しむわ。だから殺さない」 「そうね。それにアタシを殺したら、あの子がアタシのためにアンタを殺しに来るかもね」 「ご主人様に殺されるのなら本望よ。ある意味嬉しい死に方の一部に入るわね」 私は水槽の中で不気味な笑顔を浮べながら朱美に言った。 朱美は私を睨みつけた後にスーパーコンピューターを操作する。 メンテナンスに移行したのだ。 しばらく私は眠りつく。 ご主人様…私はご主人様の物…。 そう想いながら私は眠った。 …。 ……。 ………。 龍悪の視点 「………」 腕時計を見るとアンジェラス達と別れてから二時間が経っていた。 俺は喫煙所でスパスパと煙草を吸うだけ。 本来、一日の煙草の本数は二、三本しか吸わない俺が今日に限って十本以上も吸ってしまった。 こんなに吸うのも…多分落ち着かないためだろう。 あぁ~、いてもたってもいられない。 いっそのこと姉貴が地下に行ったエレベーターに乗り込んでしまおうか…。 いや、それはちとマズイなぁ~。 今ではエレベーターを挟んで監視員が左右に二人いる。 姉貴が乗って行った後すぐに来やがったのだ。 さらにオマケが付いてきてなぁ。 「………」 そのオマケというのは、俺を監視する奴等も現れたという事だ。 物陰に隠れていて人数は解らないが少なからず十人はいる。 けど奴等は俺が監視されてるという事に気付いていない。 それもそうだ。 俺はガキの頃から悪い事ばっかやってきた奴だぜ。 悪知恵が働き奴等を騙す事なんか簡単。 にしても、ちょっと大袈裟過ぎやしないか? たかがガキ一人の為にここまで人を使うか? やっぱり…このバイトは裏がありそうだ。 俺は椅子から立ち上がり、エレベーターに近付こうとした。 「タッちゃん、そんな所にいたんだ」 「!?」 いつの間にか後ろにトレイを片手に持った姉貴はいた。 「アンジェラスちゃんのメンテナンスが終わったわよ」 トレイの上にはアンジェラスが体育座りしながらコテン、と横に転がっていた。 瞼を閉じスヤスヤ、と寝ている。 メンテナンス中に寝てしまったみたいだ。 「アンジェラスの奴…スマナイなぁ姉貴」 「いいよ、タッちゃんのためだもん」 ニッコリと笑う姉貴。 この顔からは何か裏があると到底思えない。 畜生、この落ち着きなさはいったい何なんだ? 俺の心が『オカシイ、オカシイ』という。 今まで姉貴と生きてきたが、姉貴に対してこんな嫌な気持ちになるのは初めてだ。 「なぁ姉貴、ちょっと聞きたい事があるんだけど」 「な~に?」 「アンジェラス達の事なんだけどよう。こいつ等の神姫は何か特別な神姫なんじゃないのか?」 「特別?」 「あぁー、と言っても武装神姫に詳しくない俺の勘だけど…」 う~ん、こんな探り方じゃ駄目か。 姉貴の事だ。 『タッちゃんの言ってるがよく分かんないのよ~』と言いながら、はぐらかされるかもしれない。 「よく分かったね~。そう、この子達は少し特別よ」 「え?」 はぐらかさないで教えてくれそうだ。 今から言われる事は確実に覚えておかないと。 …内容にもよるが。 「この子達の特別な事はねぇ」 「事は?」 「この子達は『双子』という事よ」 「…はいぃい?」 俺は顔を斜めにし間抜け面した。 しかたないだろう。 だって『双子』と言われたんだぜ。 この情報はなんとも姉貴らしい情報だ。 期待した俺が馬鹿だったよ。 「タッちゃんが言うアンジェラスとルーナが最初に生まれた双子。その次に生まれたのがクリナーレとパルカよ。今思えば『生まれる』という表現はおかしいわね」 「………」 「そしてその中でもアンジェラスが一番特別なんだけどね」 俺はピク、と肩を揺らした。 アンジェラスだけが一番特別? いったいどいう事だ。 あのメンテナンスの時にアンジェラスだけが別々に連れて行かれた事となにか関係してるのか? 「ど~特別なんだ姉貴」 「ごめんね~。これから先は会社の企業秘密という事で言えないの」 舌をペロッと出して残念そうな顔する姉貴。 チッ! まだこの程度では諦めないぞ。 「ちょっとでも教えてくれよ~姉弟のよしみでさぁ」 「えぇ~、でも規則だし~」 「そこを何とか頼むよ。俺はこいつ等のオーナーだ。だからこいつ等に関する事は必要以上に知りたい。バイトのためにもなるとも思うし」 「ん~どうしよっかな~」 考え込む姉貴。 流石にトロ~イ姉貴も会社の機密となると言う訳にはいかないのか、なかなか言おうとしない。 「天薙龍悪様。貴方の武装神姫のメンテナンスが終わりました」 「ッ!?」 いきなり男の声がしたので、すぐさま声だした方に振り向く。 振り向いたさきにいたのは、クリナーレとルーナとパルカをトレイの上に乗せて持って来た男二人組みだった。 最初に会った男二人組み。 「どうぞ。トレイはそちらに差し上げます。使用するなり処分するなり御自由にどうぞ」 「…ご苦労さん」 クリナーレ達が乗っているトレイを受け取り姉貴の方に向く。 今度こそ情報を聞き出さないと! 「…あれ?」 姉貴が居ない? オカシイなぁ。 さっきまでいたのに。 まさか逃げられた!? 「朱美様は仕事が入ったようで研究所に行かれました」 黙々と言う男二人組みの一人が俺に教えた。 何? 研究所? あ~、多分ここの会社にある研究所の事を言ってるのか。 こいつ等のせいで姉貴から情報を引き出せなかったぜ。 ムカつく。 姉貴が居ないならここに居る必要もない。 とっとと会社から出るか。 見張りもウザイし。 俺はアンジェラスとクリナーレ達が入ってるトレイを片手に持ち会社から出る。 自分の愛車まで来て、ドアを開け運転席の隣の席にアンジェラス達を置く。 トレイはその場で捨てた。 こんな物は邪魔になるだけだ。 エンジンを掛け発進する。 「この会社…絶対なにかある」 運転席から見える会社を凝視しながら俺は帰宅した。